日常生活で精神を消耗すること第一位(推定)
どんなタフな精神を持つ人間でも必ず不安を感じる時。それは、飛行機を下りて、バゲージクレームのターンテーブルで自分の荷物が出てくるのを待つときだと思います。経過する時間とともに、「もしかすると自分の荷物が出てこないのではないか」「誰かが持って行ったのではないか」という疑念が増していきます。
ファーストクラスやビジネスクラスを選択する人の40%は、バゲージクレームの待ち時間を短くすることを最大の目的としています。すみません、適当なことを言いました。ただ、私が機内持ち込みで済ませる目的は、バッゲージクレームでの荷物待ちにより精神を消耗することを防ぐことです。
ロストバゲージ
よく、「ロストバゲージ」と言いますが、正確には本当に行方がわからなくなる「ロストバゲージ」と、1日~数日遅れで手元に届く「ディレイドバゲージ」に分かれ、圧倒的に後者の方が多く発生します。
私の荷物が「ディレイドバゲージ」になったことは過去2回。
1回目は、新婚旅行の最初の目的地、ゴールドコースト空港(オーストラリア)です。当日には荷物はホテルに届けられたと思います。新婚旅行の最初から暗雲が立ち込める、といった感じですが、それから20年近く結婚生活は続いています。
2回目は、ザルツブルク空港(オーストリア)。ただ、これは時間の関係で、フランクフルト空港かウィーン空港かどこかで、勢いで、当初予約していた便より前の便に変更して飛び乗ったことが原因で、もしかして起こるかも、と思ったら案の定でした。人に荷物が付いてこられなかったのが原因です。これも当日だったと思うのですが、ホテルに届けられました。
いずれの場合も、自分の荷物が出てこないことを確信するまでに神経が削がれ、絶望を味わいました。空港職員に相談すると、荷物がどこにあるか(少なくとも遠くにあること)はすぐに判明したのですが。
スーツケースの取り間違え
昔の国内線では、手持ちのチケットに貼られたタグと、荷物に付けられているタグを照合していたのですが、国内線、国際線ともどもいまは照合はされていないようですので、故意かどうかはともかく、スーツケースなど荷物の取り間違えが起こる可能性はあります。バゲッジクレームのエリアにはチケットなしで簡単には入ることはできないと思いますので、盗難目的ではないと思うのですが、確証はありません。
かくいう私も、上海(浦東か虹橋か)の空港で、ハッと気が付くと親子連れに自分の荷物が持って行かれかけていました。それ以降、取り間違えを防ぐために、私は特徴的なベルトをスーツケースに付けることを欠かしません。
スーツケースの破損
私は現在、大中小のスーツケースを持っていますが、いずれもポリカーボネートという素材でできているものです。スーツケースの樹脂素材としては、従来のABSに代わり、今は主流となっていますが、少し力を加えるとペコっという感じで変形するもので、軽量ではあるものの強度に不安を感じる方もおられるかと思います。ただ、ポリカーボネートは耐衝撃性が高いプラスチックで、N700などの新幹線の窓などにも使用されています。
私がポリカーボネートを推す理由は、素材への信頼性だけでなく、父がポリカーボネートの開発を以前携わっており、私の生活も、この素材に支えられていたと言っても過言ではない時期もあったからです。
ただ、その信頼のポリカーボネート製、しかも信頼のブランド、ドイツのリモワのスーツケースが、ベルゲン空港(ノルウェー)で、隅が割れた状態で出てきました。悲しみとともに、すぐに空港の事務所で破損したことを訴えたのですが、「修理が可能かどうか、判断する必要がある」と言われました。プラスチックの成型品が割れているのだから修理できる訳がない、と主張したのですが、専門家の判断が必要と言われました。ベルゲンは小さな港町で、空港にスーツケースを売っている店はなく、市内の店を探し出して「修理不能」と用紙に記入してもらい、それを持って空港に取って返しました。ベルゲンからは鉄道、バス、船を乗り継いだフィヨルド観光をする予定で、わざわざ戻らないと空港に行く機会がなかったからです。一応、新品相当に近い賠償金はもらえたように思います。
なお、その後、別の機会に、フランクフルト空港で、ルフトハンザ航空モデルのリモワ(勿論ポリカーボネート製)を購入し、その空のスーツケースを持って帰国しました。懲りないですね。
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